小田原の夕暮れ
生まれ故郷の小田原に帰ると、いつもほっとする。
そこには私を育ててくれた両親がいて、一緒に育った兄弟もいて、
馴染みのご近所さんやお店、街並みがあり、
やはり私の歴史そのものだからだ。
新興住宅地ではなく、近世からの歴史がある古い街の中の
一番古い旧市街の商店街の中で育ったことが
私のアイデンティティを作っているのだと最近よく思う。
現在は、その商店街も、ほとんどのお店は閉店してしまった。
こうして何度、小田原の空を見上げてきただろう。
時は移ろい、街並みは変わり、人も物もだんだんと消えていく。
そんな中でもPENTA67は一生もののカメラだ。
私の家にはカメラ一式とPC以外には、最小限の着るものと生活用品、
そして観葉植物と数点の気に入りの写真だけで余計なものは何もない。
最後には自由な身軽なこころだけでいられたら幸せだと思う。
からだが不自由になったときに、どれだけこころの自由を持てるかわからないが、
カメラ、特にPENTA67は私のこころを代弁してくれる
一生のパートナーになるだろう。
高橋美紀