日本の心~九州の風景に触れて

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福岡校の授業で佐賀県にある入野の棚田を訪ねた。
棚田の先には海が広がっていて、漁港もすぐそばにある。
昔から日本の仕事の中心は農業と漁業だった。
それが九州にはまだ色濃く残っている。

人類が長い時間かけて自然と共生しながら見出してきた
米や野菜、肉や魚、乳製品や大豆などの発酵調味料、
そして、それらを使った調理法=食文化は
私たちの持っている大切な遺産である。
ごく当たり前の素材と先人たちの知恵があれば
充分に豊かな生活が送れる。

そんな豊かさが九州にはたくさん在る。
都会ではものが溢れすぎて、
本物が偽物の中に埋もれてしまっている。
本当に大切なことは、自分のことよりも
他人の利するところを考える利他の心。
他人のしあわせを自分のしあわせとして味わう。
そして他人にも自分にも誠実であること。
それを感じることができれば、健康を害する可能性のある食品や
エネルギー、私たちの暮らしている生活を汚染する成分などを
作りだす産業は自然と淘汰されるだろう。

高橋 蒼